高尿酸血症
2012-09-20
高尿酸血症とは何か、高尿酸血症の症状・原因や高尿酸血症、痛風を予防・改善する食事療法などについて紹介。高尿酸血症、痛風にならないように生活習慣を見直しましょう!
まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。
高尿酸血症、痛風の薬物と心得え
尿酸値が8mg以上では薬物療法を検討していきます。尿酸合成阻害剤(アロプリソール)や尿酸排泄促進剤(プロペ卜ネシド、ペンズブロマロン)は、血液中の尿酸が増えないように常に飲まなければいけない薬です。 ただ、痛風の発作が起こっているときに飲むと、かえって症状を悪化させます。まずは肥満の解消により、体を正常な代謝に引き戻すことが重要です。まずは、適正体重(BMI22)に近づけるようダイエットをして、飲酒は種類には関係なく飲みすぎに注意することです。また、1日の尿量が増えるよう水分(水またはお茶など)をまめに摂取し、たんぱく質を多く含む食品と果物を控え、野菜と海藻を積極的に食べるようにします。 また、ストレスと過度の運動(激しいスポーツ、筋肉疲労)を避けるように心掛けます。
高尿酸血症、痛風の食事療法
(1) 飲酒 アルコールは乳酸に代謝され、乳酸が尿酸の尿中への排泄を阻害するので、飲酒を制限します。一日の摂取目安として、日本酒なら1合、ビールなら中ビン1本程度が許される範囲です。なお、ビールは最もプリン体を多く含むお酒です。週2日程度は、休肝日を設けるようにします。
(2) 水分を十分に摂取 水、お茶など十分に摂取します。しかし、ジュース、コーラ、サイダー、缶コーヒーなどの清涼飲料水は単なる水分ではなく、肥満の原因となるので制限が必要です。
(3) 野菜、海草を十分に摂取します。 尿酸の尿中への排泄を促す作用のある 野菜サラダ、海藻サラダ、お浸し、味噌汁の具などで野菜や海藻類をたっぷり摂取することが重要です。
(4) 果物は食べ過ぎないようにします。 果物に多く含まれている果糖は、尿酸の体内合成を促進するため、果物の摂取量は皮・種なしで150~200g程度(バナナ1本またはりんご1/2個程度)に控えることが必要です。
(5) プリン体を多く含む食品は控えます。 プリン体を非常に多く含むモツ類(レバー、煮込み、焼き鳥など)、干物、えび、内臓ごと食べる魚(あゆ、さんま、わかさぎ、ししゃも、しらす干、めざしなど)、しらこ、あんきも、いわし、かにみそ、豆類(煮豆、納豆など)、コンソメスープ、ポタージュ、カレー・シチュー類は控え目にします。
(6) たんぱく質の過剰摂取は避けます。 種類には関係なく、おかず(魚介類、肉類)を食べ過ぎないことも大切です。
(7) ストレスを避けます。 生活している以上は、ストレスのない生活をすることはできませんが、余暇や趣味を楽しむなど適度に息抜きをしてストレスを溜めないようにします。
(8) 過度の運動は避けます。 高尿酸血症によい運動はジョギング、サイクリングなどの有酸素運動であり、筋力トレーニングや激しい筋肉運動(テニス、サッカー、野球など)は尿酸値を上げるため、好ましくありません。
(9) 極力、脂肪の多い食品や料理は食べない。 油の多い料理や食品は肥満を助長するだけではなく、おかずの過食によってたんぱく質の過剰摂取になってしまうので制限します。ハム、ソーセージ、コンビーフ、トンカツ、フライ、中華料理などのように、脂肪の多い食品や料理は要注意です。和風料理中心の食生活が好ましいでしょう。
高尿酸血症、痛風の基礎知識
高尿酸血症とは、血清尿酸値が7mg/dlを超えるものと定義されています。高尿酸血症は自覚症状がないため、定期的な健康診断による観察が重要です。高尿酸血症が長期間持続する体内の尿酸蓄積量が増加して痛風をはじめとする疾患に発症します。
痛風という疾患名は高尿酸血症により、特徴的な急性単関節炎を生じた既往のある患者に対してつけられる病名です。治療しないで放置すると主に足の親指の関節部分が腫れ上がったり(関節炎)、痛風腎※などを起こし最終的に死に至ることもあります。 痛風の仕組みは、血液中のナトリウムと尿酸が結合して封状の結晶を作り、これが関節などに沈着することによって痛みが起きます。また、患者の99%は男性という性差の大きい疾患です。
※ 痛風腎とは、痛風によって起こる腎障害のひとつで、高度に進行すれば最終的には透析を行わなけれぱならなくなるほど腎機能が低下します。
高尿酸血症の治療は薬物療法が主体となります。薬の効果をより高めるためには、あわせて食事療法が重要です。血液中の尿酸を下げる内服薬は人きく分けて2種類あります。一つは尿酸を尿中への排泄を促進する「尿酸排泄促進剤」です。もう一つが、尿酸値の高い人は生まれつき体内で尿酸を多く作ってしまう体質なので(尿酸を合成する能力が高い)、尿酸の排泄を促進するのではなく、体の中で尿酸が作られるのを阻害する「尿酸合成阻害剤」です。
食事療法はエネルギー制限を基本に、尿酸の原料となりやすいプリン体を含んだ食品を極力避け、尿と一緒に尿酸を排泄するような食品の摂取、食事方法を行います。なお、プリン体が極端に多い食品は制限します。最近では以前のような極端なプリン体制限を行っても、大きな効果が期待できないとされています。