慢性腎臓病
2012-07-05
慢性腎臓病(CKD)とは何か、慢性腎臓病(CKD)の症状・原因や慢性腎臓病(CKD)を予防・改善する食事療法などについて紹介。慢性腎臓病(CKD)にならないように生活習慣を見直しましょう!
まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。
慢性腎臓病(CKD)の減塩のポイント
野菜や果物に多く含まれているカリウムは、血圧を上げる原因であるナトリウムの排泄を促します。カリウムは、ほとんどの食品に含まれていますが、特に生野菜、果物、いも類、種実類、海藻に含まれています。
減塩してもおいしく食べるポイント
(1) かんたんなところで普通のしょう油の代わりに、減塩しょう油を使います。
(2) だしを濃い目にとり、味覚を増します。
(3) 酢やレモンなどの酸味を上手に使用することで、塩分量を少なくする。
(4) しょうが、しそ、生姜、ごま、ナッツ類や、唐辛子、カレー粉などの香辛料を使うことで、香りや風味に良くしてうす昧をカバーします。
(5) 旬の食材、季節にあった新鮮な材料を便うことで、食材本来の味が活きて、少ない塩分でもおいしく食べられます。
(6) しっかりと味付けした料理と共に、酢の物、和え物、おひたしなどのうすい味付けの料理を組み合わせてメリハリのある食事にします。
うす味の料理や加工品などに調味料をかけたがる方がいますが、過剰な塩分になるため、できるだけ控えましょう。また、刺身しょう油やサラダのドレッシングなども控えめに使います。
加工品のみならず外食や惣菜品は、塩分量が多く、腎臓病治療で減塩する必要がある人にとって、できる限り控えることが望まれます。
主な加エ品の塩分量(グラム数は1個あたりの目安) ・しらす干し 10g→0.4g ・アジの干物 70g→1.2g ・ツナ缶 20g→0.2g ・たらこ 10g→0.5g ・すじこ 15g→0.7g ・かまばこ 1Og→0.3g ・はんぺん 100g→1.5g ・ハム 20g→0.3g ・ウインナー 15g→0.3g ・チーズ 15g→0.4g
CKDのステージが上がると、血液中にカリウムが蓄積して、不整脈による急死の原因となる可能性もあります。カリウムは血圧を上げる原因となるナトリウムの排泄は促すが、CKD患者にとってはカリウムの摂りすぎは注意が必要です。 カリウムは、食物を茄でたり、水にさらしたり、余分な水分を紋ることで減らすことができます。
慢性腎臓病(CKD)の予防
慢性腎臓病(CKD)の発症、症状悪化防止に向けて大切なことは、腎臓に負担をかけないようにすることです。それには生活習慣の改善が第一となります。
(1) 塩制限1日あたり9g未満(女性は7.5g未満) 食塩を摂り過ぎはナトリウムの摂り過ぎになります。減塩のポイントは次回に詳しく紹介します。 (2) 野菜・果物を積極的に摂取する。 野菜や果物に多く含まれているカリウムは、血圧を上げる原因であるナトリウムの排泄を促します。 (3) コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。 コレステロール値を正常範囲に抑えて、腎硬化症を予防します。 (4) 適正体重の維持 特にBMI25を超えない。 肥満はCKDだけではなく万病のもとになります。食べ過ぎないよう注意します。 (5) 禁煙 禁煙によってLDLコレステロールを酸化LDLに変えます。酸化LDLは血管を詰まらせる原因を作り、健康な血管が本来持っている血管拡張作用を損なわせます。 (6) アルコール摂取の制限(エタノール換算) 1回あたり男性20~30g、女性10~2Og以下にします。飲酒(アルコール)による腎臓負担は、女性の方が影響を受けやすいと言われています。
慢性腎臓病(CKD)の食事療法
慢性腎臓病(CKD)の食事療法について 腎機能の状態によって食事療法の内容は異なりますが、基本は食塩制限、たんぱく質制限、エネルギーの確保の三本柱です。浮腫などの症状が出たり、血液中のカリウムやリンが多くなっている状態では、カリウム制限やリン制限、水分制限が厳しく加わります。
①食塩制限 CKDでは食塩の過剰摂取により血圧が上がりやすく、ろ過機能が低下した状態では、食塩の過剰摂取によりむくみや心不全の原因にもなります。食塩摂取量は1日あたり6g未満と考えてください。
②たんぱく質制限 たんぱく質を制限することで、尿毒症症状の抑制や尿素窒素(BUN)の低下などの効果があります。1日のたんぱく質の摂取量は、0.6~0.8g×適正体重(kg)が基本となります。
③エネルギーの確保 健康な人と同じエネルギー量を確保します。エネルギーの算出は、年齢、性別、身体活動量により異なりますが、おおむね、30~35kcal×適正体重(kg)になります。肥満の人は減量する必要があるので、摂取エネルギー量の調整を行います。
慢性腎臓病(CKD)の基礎知識
CKD※とは、Chronic=慢性、Kidney=腎臓、Disease=病気)の略です。日本で透析治療をうけている患者は、30万人近くに達しようとしています。CKDはアメリカで2002年に提唱された概念です。
腎臓病の病名はたくさんあり、わかりにくい病気の一つでした。そこで、タンパク尿・血尿などの所見と腎臓機能の状態より、CKDという概念を定義し、理解しやすくしました。
CKDは以下のように定義され、診断されます。 1) 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかなとき(特にたんぱく尿の存在が重要)。 2) GFR(糸球体ろ過量) 60ml/分/1.73m2未満。 3) 1)、2)のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続。
※日本の成人人口におけるCKD患者数は約1,330万人と推計されています。
CKDは悪化すると、腎不全になるだけではなく、脳・心血管病(CCVD :Ceretxo,Cardiova scular disease)の発症リスクも高くなります。脳卒中、心筋梗塞、狭心症などの脳や心臓の動脈硬化で起こる病気が、腎不全で死亡する割合より多いのが現実です。
CKDの病期分類には、腎臓の機能の評価指標であるGFRを用います。GFKは検査に時間と手間がかがるため、血清クレアチニン値をもとにした推算値を使います。
腎臓の機能が低下すると、分子量の小さいたんぱく、アルブミンから少しずつもれ始めます。たんぱく尿は腎障害の重症度を反映します。正常値は(-マイナス)です。
高血圧とCKDは密接な関係があります。腎臓は血圧調整に関与している臓器で、高血圧による障害を受けやすい臓器でもあります。腎臓の機能が低下すると、血圧の調整がうまくできなくなり、血圧が上昇して腎臓を障害させ、さらに、機能が低下するという悪循環に陥ります。
また、腎臓に血液を供給している腎動脈が動脈硬化を起こし、つまったり、血液の流れが悪くなったりすると、腎臓に流れる血液量が減り、機能が障害されて腎臓が徐々に萎縮して小さくなっていきます。腎動脈硬化症(腎硬化症)と言い、高齢者人口の増加により増えています。
肥満があると、血糖を下げる働きがあるインスリンが効きにくい状態になり、血液中のインスリン濃度が高くなります。インスリンは、腎臓でナトリウムの再吸収を促す、交感神経を活性化させて血圧をに働き、腎臓を傷害します。
血液中のブドウ糖が血液の成分と結合し、その代謝産物が沈着して、腎臓に炎症が起こります。炎症は、糸球体を徐々に蝕んでつぶしていき、ろ過機能が徐々に低下し、糖尿病性腎症となっていきます。