糖尿病

2012-06-15

糖尿病

糖尿病とは何か、糖尿病の症状・原因や糖尿病を予防・改善する食事療法などについて紹介。糖尿病にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

糖尿病の食事療法の注意点

食事療法をするにあたって、まず食品交換表※見ながら、栄養素が過不足なく取れるよう注意することから始まります。この食品交換表は、食品を4群6表に分類し、1単位を80kcalとして、各表から必要な単位の数だけ食品を選択すれば、栄養素が過不足なく比較的簡便に摂取できるように工夫された表です。

・一日の総エネルギーの制限 25~30kcal/kg ・一日3回しっかりと食事を行う。また時には間食も必要 ・食事の間隔は4時間以上あけます。 ・3回の食事エネルギー摂取量は均等が基本です。 ・糖質エネルギー比は、50~60%です。 ・たんぱく質は、1.0~1.2g/kg(エネルギー比15~20%)です。 ・脂質エネルギー比は25%以内です。

※食品交換表とは、糖尿病の食事療法のためのバイブルのようなもので、80kcalを1単位として、何グラムの食品を食べることができるかが掲載されています。この80kcalの単位ですが、日頃よく食べる食品の量がおおよそ80kcalまたはその倍数になっているからです。 たとえば、ごはん茶碗1杯(150g)で3単位の240kcal、鳥のささ身2本(40g)で1単位、柿一個(150g)で1単位などとなっています。食品交換表によって自分の健康を維持するために必要な摂取量を確認することができるようになっています。

糖尿病は合併症との戦いともいわれます。そのため合併症予防のための食事療法を取り入れる必要があります。 ・高血圧および虚血性心疾患の予防のため、食塩の摂取量は1日7~10g未満になるよう心掛けます。 ・脂質異常症の予防のため、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取を控えます。 ・食物繊維の多く含む食品を積極的に取るように心掛けます。食物繊維は食後の血糖上昇を抑え、コレステロールの上昇を防ぐ働きがあり、1日20~25g程度摂取するように努めます。

糖尿病性腎症の食事療法

糖尿病性腎症とは、腎不全によって人工透析にいたる直前の状態をいいます。糖尿病性腎症では、腎不全の進行に伴いインスリンの分解能力が低下して、インスリンが体内に蓄積し、それとともに血糖値が低下します。 ・できるだけ多種多様の栄養素を摂取するよう、多品種少量の食品を摂取します。 ・栄養素の偏りを防ぐため、食品交換表を必ず用います。 ・アルコールの飲酒は担当医の許可を受けた場合のみで、1日2単位までとして、他の食品とは交換できません。アルコールはエネルギーですが、栄養素ではないため他の食品と交換すると栄養不足に陥ります。 ・食塩、しょうゆ、ソース、酢、料理酒はエネルギー計算しない。一方、カレーなどのルー、ケチャップ、砂糖、味噌、みりんはエネルギー計算をします。

糖尿病の運動療法

糖尿病は食事療法と同時に運動療法による治療が重要です。筋肉を動かすことによってインスリンの働きがよくなり、血糖を下げる効果が期待できます。また、肥満により脂肪細胞が大きくなるとインスリンの働きが悪くなり、糖尿病治療の妨げとなります。

運動療法は治療ですので、糖尿病患者にとって毎日継続的に行うことが求められます。週1回のゴルフやテニスはあくまでレジャーと考えるべきで、もっと毎日できる運動を取りいけなければなりません。

具体的には1日3回、食後に30分程度、約200kcal程度のエネルギーを消費する運動、そしてどこでも、ひとりでもできる運動を推奨しています。ただし、運動療法は心臓病を患っている人、網膜症が進行している人、血圧が高い人、インスリンを使用している人などは、担当医のアドバイスを受けた上で行うことが必要です。

特に心臓病を患っている人は、担当医の指導の下、運動の種類、頻度、負荷の程度などを総合的に勘案して慎重に実施します。

糖尿病の三大合併症

糖尿病の三大合併症のうち、最も早く症状が現れてくるのが神経障害です。最終的に壊疽※1にまで発展します。その次に網膜症となり、最後に腎症(人工透析※2)へと発展します。

神経障害、網膜症、腎症は糖尿病の合併症と疑われ、命にかかわる疾病です。また、糖尿病にかかると動脈硬化が起こりやすく、脳卒中、心筋梗塞、がんにもなりやすいといわれています。

※1 壊疽とは、体の一部が腐敗した状態で、糖尿病の場合、足の指や足の切断に至るケースもあります。 ※2 人工透析は、1~2日おきに全身の血液を4~5時間かけてダイアライザーと呼ばれる人工腎臓によって浄化する治療法をいいます。

腎症にまで至るケースでは、糖尿病にかかってから少なくとも10~15年が経過していると考えられ、その間の食習慣が荒れていたことが想像できます。人工透析で一番多いのが、この糖尿病性腎症で、無意識のうちに病気が進行し、気づいたときには病気が進行していた

というケースがよくあります。糖尿病には色々な食事療法、運動療法が広まっていますが、糖尿病に対する迷信も多く、糖尿病に対する正しい知識、正しい理解こそが治療効果を上げる早道です。

糖尿病の食事療法への心構え

一般に糖が出なくなれば糖尿病が治癒されたと勘違いする患者が多いので、食事療法もその点を注意しなければなりません。また、食べる量を減らすと早く治るものではなく、一日に必要なエネルギー、栄養素をバランスよく摂取することが重要です。

糖尿病の治癒には、指示エネルギー※と呼ばれる指標が主治医より知らされます。

※ 指示エネルギーとは、適正体重、年齢、性別、活動量(仕事内容、運動量など)、合併症の種類や程度などによって決定。一般に適正体重(kg)×25~30kcalといわれています。(適正体重=身長×身長×22)

また、血糖値が下がってくれば摂取エネルギーを増やしてもよいという考えも危険で、指示エネルギーは血糖値の増減、尿糖の多少などで決定するものではないことを知らなければなりません。

どのような治療にもいえることですが、食事療法は患者の強い意志が不可欠です。経口薬やインスリン注射を行っているからといって、食事制限を自分で勝手に解釈しては、治る病気も治らないといえます。

糖尿病の種類

糖尿病にはいくつかのタイプがあり、日本においては95%以上が2型※と呼ばれる遺伝的要素の強い糖尿病です。残りが遺伝的要素が認められない1型※と呼ばれる糖尿病で、この治療にはインスリン注射が必要になってきます。

このほか、ごく稀に膵臓がんや慢性膵炎、膵臓の手術後に起きる二次性の糖尿病、妊婦糖尿病があります。

代表的な2型糖尿病は、中年過ぎの肥満者にかかりやすく、1型糖尿病は痩せ型の若年層、こどもが多いのが特徴です。つまり痩せ型には遺伝的要素が少なく、肥満型に遺伝的要素が強いということです。

糖尿病は一生の病気といわれ、治療を中断してしまうと症状がまた悪化します。糖尿病は治療するのではなく、「健康をコントロールする」ともいわれています。

※ 1型糖尿病とは、ウイルス感染などが原因となって、急激に発症する糖尿病です。治療にはインスリン注射が不可欠。 ※ 2型糖尿病とは、過食、肥満、運動不足、ストレスなどが原因とされる糖尿病です。典型的な生活習慣病。糖尿病にかかりやすい遺伝的な体質を持っている患者で、インスリン注射は必ずしも必要ありません。食事と運動によって症状がよくなるケースが 全体の60~70%に及ぶといわれています。

糖尿病の基礎知識

食物を消化吸収してエネルギーに変わるわけですが、そのエネルギー源は最終的に血糖(血液中のブドウ糖)という形で供給されます。血糖が体内の各部に供給されるためには、すい臓のランゲルハンス島にあるB細胞によるインスリンが不可欠です。

糖尿病になると血糖値が上昇しますが、本来各細胞で使われるべき血糖が細胞内に取り込まれないのは、このインスリンの作用不足によるものです。つまり糖尿病とは、体内に必要なエネルギー(血糖)が十分に取り込まれない状態をいいます。

糖尿病の食事で必要なことは、一日に必要な最低限のエネルギーを過不足なく摂取することにあります。ただ単にエネルギーを減らすのではなく、一日に必要なエネルギー、栄養素を十分確保するということです。

糖尿病は以下の症状に該当した場合をいいます。

・糖尿病の症状があり、随時血糖※1が200mg/dl以上 ・空腹時血糖※2が126mg/dl以上 ・75g経口ブドウ糖負荷試験※3の2時間値が200mg/dl以上 ・HbA1c※4が6.5%以上

※1 随時血糖とは、食前、食後、空腹時など、どのような条件のときでもよい血糖の状況 ※2 空腹時血糖とは、最低8時間以上エネルギー摂取がない状態 ※3 75g経口ブドウ糖負荷試験とは、空腹時に血液を採取、75gのブドウ糖溶液を摂取し、30分おきに血糖を調べる検査で、血糖だけでなくインスリンの分泌状態を調べます。 ※4 HbA1cとは、グリコヘモグロビンとも呼ばれ、1~2ヶ月前の血糖の平均値が推計できる検査のこと。長期的な血糖値の指標となり、正常値は5.8%以下

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