動脈硬化
2012-07-10
動脈硬化とは何か、動脈硬化の症状・原因や動脈硬化を予防・改善する食事療法などについて紹介。動脈硬化にならないように生活習慣を見直しましょう!
まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。
動脈硬化の予防
動脈硬化の予防には、次のことに気をつけます。
(1) 適度な有酸素運動を行いましょう。1日1万歩が目安。身体を動かす習慣を身にっけましょう。
(2) 常に腹八分目にして、体重管理をします(BMI=22)。肥満は動脈硬化を促進させます。
(3) 脂肪の質と量を考えます。植物油・魚油を中心にします。肉の脂肪は飽和脂肪酸が多く、摂りすぎるとコレステロール値を上げ、動脈硬化の原因となります。
(4) 砂糖と果物を摂りすぎないよう注意します。糖分を摂りすぎるとトリグリセリドが増加します。
(5) 食物繊維の多い食品を摂るよう心掛けます。
動脈硬化性の疾患について
(1) 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞) 冠動脈※1に動脈硬化が起こると、心臓の筋肉に栄養分と酸素の供給が不足して狭心症の症状が起こります。 心筋梗塞は、血の塊りなどが原因で血管が閉塞し、血液供給が突然途絶えたために、心臓の筋肉が酸素の供給を得られずに壊死する疾患で、緊急治療が要するものです。
(2) 脳血管疾患(脳梗塞※2) 脳の血管が詰まることが脳梗塞です。脳卒中(脳出血も含む)の75%を占める疾患です。脳梗塞が起きると数分で脳細胞が壊死し始めます。時間経過とともにダメージが広がり、大きな血管が詰まり、後遺症が出る確率も高くなります。
脳梗塞の前兆 ・片方の手足がしびれる ・手の力が抜けてものを落としてしまう ・ろれつがまわらない ・文字が思うように書けない ・歩けない ・立てない ・物が二重に見える ・物が見えにくくなる
(3) 腎血管疾患(腎硬化症) 腎臓に血液を送る動脈が詰まって起こります。その結果、腎臓の組織に栄養分と酸素が不足し、進行すると腎臓の機能が低下していきます。腎硬化症は高齢化とともに年々増加し、透析導入疾患の第3位に挙げられる疾患です。
(4) 下肢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症) 下肢の大きな動脈が詰まって起こります。下肢の動脈が詰まって血液の流れが悪くなると、足先の冷たい感じや痺れがおこり、放置しておくと足先が壊死を起こし、下肢切断に至ることもあります。
※1 冠動脈は、心臓に冠をかけたように動脈が走っているように見えることから、このような名称がつけられました。 ※2 脳梗塞は一過性脳虚血発作(TIA)があります。片マヒやろれつが回らなくなるなど脳梗塞と同じ症状ですが、24時間以内に自然回復するものをいいます。
動脈硬化の基礎知識
血管※1の中には血液が流れていて、常に圧力がかかっています。高い圧力(高血圧)がかかり、さらに血液中の糖分や脂肪分が多いと血管の内膜が傷んで、ホース(血管)が硬くなって、弾力性を失っていきます。これが動脈硬化といいます。
動脈硬化の原因にはいくつかありますが、代表的なものは以下のものです。
(1) 高血圧 血圧が高いと血管にかかる圧力も高くなり、血管の内膜が傷つきやすくなります。動脈硬化の初期段階といえます。
(2) 脂質異常症 高血圧などが原因で内膜が傷ついた隙間から、酸化されたLDLコレステロール※2が取り込まれると、異物として認識され、それが蓄積していき動脈硬化が進んでいきます。
(3) 糖尿病 血糖値が高くなると、LDLコレステロールが糖分とくっつきやすくなり、糖化LDL、酸化LDLとなって内膜に入り込んで沈着し、血管(通り道)を狭くします。
(4) 喫煙 喫煙はLDLコレステロールを酸化LDLに変えます。酸化LDLは、血管を詰まらせる原因を作り、健康な血管が本来持っている血管拡張作用を損なわせます。
(5) 高尿酸血症 尿酸は水分に溶けにくく、血液中では尿酸塩で存在します。尿酸が多いと針状の尿酸塩が内膜を傷つけます。
(6) 運動不足 運動不足は、余った栄養分が血糖値や中性脂肪値を上げ、糖尿病や高脂血症などを発症させます。また、肥満になりやすく、それにつれ血圧も高くなります。
(7) ストレス ストレスがかかると、交感神経の活動が優位になって血圧や心拍数を上げ、血管を収縮させます。ストレスがかかった状態が続くと、動脈硬化が進みやすくなります。
※1 血管は内側から、内膜、中膜、外膜の三層からなって、動脈硬化は内膜の内皮細胞に障害がでます。
※2 酸化LDL 活性酸素の作用でLDLコレステロールが包みこんでいる不飽和脂肪酸が酸化されたものをいいます。