運動
2013-02-20
健康と運動について、運動するうえでのポイント・注意点や運動による効果について紹介。運動をして生活習慣病にならないようにしましょう!
まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。
運動するうえでのポイント・注意点
運動は健康に良いからといっても、やりすぎはかえって健康を害することがあります。自分の体力に合った運動の強度と量を調節する必要があります。また、心配がある人は、事前にメディカルチェックを受けましょう。
(1) 運動する前に準備体操やストレッチを行う。 不用意に体を動かすと、思わぬケガや事故につながることがあります。事故の予防と運動後の疲労を軽減するために、準備運動やストレッチを必ず行いましょう。
(2) 運動中に痛みが出た場合はただちに運動を中止する。また体調不良時は運動を控える。
(3) 服装は身体が自由に動けるものがよい。靴はひざや足関節の負担のかからないものを選ぶ。
(4) 運動強度・量はその日の体調によって調整する。 無理のない理想的な運動強度で、運動しているときに「かなり楽」「やや楽」と感じる程度の運動に留めます。
(5) 最初は無理せずに、1日20~30分のウォーキングから 運動習慣がない人には、楽な運動から始めることを推奨します。少しずつ歩く時間を延ばして、慣れてきたら徐々に強度の強い運動をしていきましょう。理想的な運動量は、歩数にすると1万歩です。こまめに歩きましょう。
(6) できるだけこまめに身体を動かし、身体活動を増やす。 運動ができない人は生活の中でこまめに身体を動かしましょう。日常生活の中で身体活動を増やすためのポイントは、次のとおりです。 ①エレベーターやエスカレーターを使わない。 ②なるべく自転車を使う、歩くようにする。 ③買物は、少し遠めのスーパーなどに行く。 ④バス停を1つ手前で降りる。 ⑤家事で積極的に動く。
※ストレッチ ストレッチングともいう。運動前の準備運動、運動後の整理運動、関節可動域を広げるための柔軟運動がある。
※運動不足 運動不足を簡単にチェックするために、次のようなポイントがあげられます。 ・歩いて10分以上かかるところへは、車やバイクをつかう。 ・バスや電車で空席があると、ついつい座る。 ・1階分でもエスカレーターや工レベーターを使ってしまう。 ・人ごみの中で、とっさに人をよけられないことが多い。 ・立ったまま靴下をはけない。 ・坂道や階段を上ると息切れがする。 ・肩や首、背中が凝りやすい。
生活習慣病と運動
運動すると、消費エネルギーが増えたり、身体機能が活性化したりするので、血液中の糖や脂質がたくさん消費され、内臓脂肪が減少しやすくなります。その結果、血糖値や脂質異常、高血圧が改善されて、生活習慣病の予防につながります。
(1) 脂質代謝と運動 運動不足は、低HDLコレステロール血症、高中性脂肪血症を引きおこします。運動により脂質代謝が改善されてHDLコレスロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があります。
(2) 糖代謝と運動 運動により、インスリンの効き目が改善され、細胞への糖の取り込みの反応が良くなり、血糖が下がります。
(3) 血圧と運動 運動により、安静時の心拍出量が低下すること、末梢の血管が拡張することで血圧が下がります。また、運動後に副交感神経が優位になり、交感神経の緊張が緩和されリラックス状態になります。
(4) がんと運動 運動は、大腸がんと乳がんに予防的であることが世界の疫学調査で明らかにされています。生活習慣病を持っている人は、その症状により運動制限がある場合があります。主治医にメディカルチェックを受けて支障のない程度に運動することが大事です。
※心拍出量 各心室(左室、右室)から拍出される血液量をいう。安静時の成人毎分拍出量は5~6l/分(60~70ml/回)で、運動時には3~4倍に増加する。
運動による効果
運動による効果は、身体面はもちろんのこと、機能面、精神面などにもたらす効果もあります。
(1) 太りにくい体質になります 筋肉の収縮にはATP(エネルギー源)が必要になります。筋肉量が増えると基礎代謝が上がります。 さらに筋肉トレーニングなどの筋抵抗運動を行うのが効果的です。
(2) 筋肉や骨を強くします 運動することで骨に力が加わると、骨が強くなります。また、筋肉の密度が高まることで筋力もアップします。
(3) 心肺機能の向上により体力が向上します 心筋の肥大、毛細血管の増加などで体力が向上します。
(4) ストレス解消につながります 適度な運動の継続は、神経や筋肉の緊張を和らげ、ストレスホルモンの分泌を減らします。 また、運動後の休息では、副交感神経が優位になり、リラックス効果も得られ、ストレスが解消されます。
その他にも腸の運動を促すことによる便秘の解消、体力がつくことによるケガ防止、疲労を感じにくくするなどの効果があります。また、厚生労働省による研究データでは、身体活動量が多ければ多いほど、死亡率が低くなる結果も出ています。
※ストレスホルモン ストレスを受けると、カテコールアミンとコルチゾールという2つの副腎皮質ホルモンが分泌される。これらのホルモンの連係プレーによって、血液中の血糖値を上げて、脳や筋肉の働きを高めストレスと戦う態勢を整える。さらに、心臓の心拍数を上げる、血管を収縮させて血圧を上げることでストレスに備えている。
※ウォーキング 正しい歩き方は、頭はまっすぐに安定させて、あまり力は入れない。視線は少し遠くへおき、10~15メートルくらい前を見るようにする。背筋を伸ばし頭から足の先までを1本の軸になるようにする。肩の力を抜きリラックスし、腕は90度に曲げ、リズム良く振る。
健康と運動について
交通手段の発達、公共施設のバリアフリー化、家電製品の改良などにより、労働環境や生活環境が変化し、身体を動かす機会が大幅に減っています。
運動の種類 運動は大きく3つに分けられます。この3つをバランス良く行うと、より運動の効果が上がります。
(1) 有酸素運動 ウォーキングやサイクリングなどの軽い強度の運動を「息が少し弾んで汗ばむ程度」のペースで一定時間行うことができる運動です。慣れてくると、長時間続けることも可能になります。効果として、筋肉の質を高める、全身の持久力が上がるなどがあります。
(2) 筋抵抗運動:筋肉トレーニングなど ダンベルや専用の器具などを使い、筋肉の収縮能力を向上させる運動です。効果としては、筋肉の密度を高める、基礎代謝量が上がるなどがあります。
(3) 筋調整運動:体操やストレッチングなど ストレッチは筋肉を引っ張って伸ばすことで、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域が大きくなり、筋肉痛の予防、疲労回復にも効果があります。
※有酸素運動 酸素を消費し、充分な呼吸を確保しながらできる運動。筋肉の収縮時に必要なATPを呼吸で得られる酸素によって作り出す。無酸素運動ではATPを無酸素で得ている。無酸素運動とは、100mダッシュやウェイトリフティングなどの短時間で大きい瞬発力を求められる運動などである。
※ATP アデノシン三リン酸のこと。エネルギーの通貨とされ、酵素の働きによってATPからADP(アデノシンニリン酸)になるときに、エネルギーが発生する。このエネルギーを活動エネルギーとして使う。